保存性を高めるため「灰持(あくもち)」という古来の製法を使って醸造
灰持酒
赤酒は、古来より伝わる伝統製法を今に受け継ぐ、赤褐色が特徴的な熊本の地酒です。
現在の酒税法上では「雑酒」に分類される酒類ですが、その製法により「灰持酒(あくもちざけ)」ともいわれます。
「灰持酒」は、酸を中和し保存性を高めるため、もろみを搾る前に「木灰」を入れることが最大の特徴です。(一般の清酒は、加熱する<火入れする>ことにより保存性を高めることから「火持酒ひもちざけ」と呼ばれます。)
灰持酒とは、醸造した「もろみ」に木灰を加えて、酒の保存性を高めるという「灰持(あくもち)」という製法を使って醸造した古来の日本の酒です。
これはわが国に伝わる酒(日本酒)の製造法の一つで、灰を使って酸敗を防ぎ、保存性を保つので「灰持(あくもち)」と称し、これに対して普通の清酒は火入れ殺菌により保存性を持たせるので「火持(ひもち)」と称します。
灰で酒の酸を中和することで、結果、元来酸性である酒が、中性か微アルカリ性に変わるという、世界でも他に類を見ない製造法の一つです。なお、もろみに加えられた木灰は、次の工程で完全にとりのぞかれますので、酒の中には残りません。
アルカリ性の環境下では、成分中の糖分の褐変反応やメイラード反応が早く起こるため、酒の色が短期間に茶褐色に変化します。これが「赤酒」の名の由縁でもあります。
灰持酒の製造過程
灰持酒の一般的な製造過程
「灰持」製法によって生まれる効果
「灰持(あくもち)」という製法には、保存性を高めるという効果の他にも調味料として優れた効果が秘められています。
それは、搾る前に灰を投入して酸を中和するために、お酒がアルカリ性あるいはそれに近くなるという事です。いわゆる微アルカリ性です。
微アルカリ性には、以下のような効果があります。
- 肉や魚を煮ても身がしまらず、ふっくら柔らかく仕上がる。
- アクのある野菜を煮ても色が変わらずきれいに仕上がる。
保存性を高めるために木灰を入れるという製法が意外な効果を発揮していたのです。
今日までその製法が受け継がれてきたゆえんと言えるでしょう。
「灰持(あくもち)」の伝統製法をもとに造られる東肥赤酒は、現在の酒税法では「雑酒」として規定される酒類(アルコール分約12%)のひとつで、ご家庭でも安心してお使いいただけます。